国土交通省所管    柳原(やなばる)地すべり    福岡県

柳原地すべり全景

柳原地すべり全景

福岡県の地すべり分布と地質特性

福岡県の地すべり分布と地質特性

「斜面防災技術」掲載号:Vol.42,No.2(2015年8月,通巻124号)

地すべりの概要

1.地すべりの概要

 柳原(やなばる)地すべりは、久留米市から南東約30kmの八女市星野村内を流れる矢部川水系星野川の左岸側に位置する。平成 24年7月の九州北部豪雨により斜面長300m、幅230m、深さ25〜30mの地すべりが発生して河道閉塞を生じ、星野川に水深5m程度の堰き止め湖が形成された。

2.地形・地質概要

 地すべりブロックは、標高200〜400mの平均勾配15°程度の集水地形を呈する緩斜面において、斜面中腹を頭部、星野川を末端とする。

 地質は、中〜古生代の三郡変成岩類が分布し、主に泥質片岩・砂質片岩・緑色片岩(塩基性片岩)から構成される。これらは多くの片理が発達し、かつ褶曲作用を受けて、多くの断層破砕帯などが存在するため地すべりが発生しやすい。

3.誘因と素因

 (1)素因:変成作用や褶曲作用を受けた脆弱な地質構造と豊富な地下水環境。

 (2)誘因:連続416mm・時間最大96mmに及ぶ豪雨の流入による間隙水圧の上昇。

4.対策工

 地すべり斜面の安定確保と河道閉塞の解消を目的に、国の直轄砂防事業として対策が実施された。

  • 頭部排土工7万m3、河川掘削工6万m3
  • 集水井工4基・集水ボーリング工80本5,745m・横ボーリング工67本3,025m。
  • アンカー工463基、鋼管杭工52本L=22〜30m。

地すべりの特徴

柳原地すべり対策工平面図

柳原地すべり対策工断面図