国土交通省所管 西の谷地すべり | 愛媛県 |
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地すべりの概要 1. 地すべり地の概要 愛媛県と高知県の県境に近い、松山市と高知市を結ぶ国道33道の北側で、仁淀川に面した南東向きの斜面に位置する。この斜面は、仁淀川の河床部標高230 mから前輪廻侵食平坦面である尾根頂部の1,000 mまで及び、標高600 m付近の遷急線を境に、上部は農村整備局所管の越之峠地区地すべり、下部が本谷の口地すべりに区分されている。谷の口地すべり地は、大きく4つのブロックに分けられ、地すべりの規模が大きく、想定される被害が広範囲に及ぶことから、国土交通省の補助地すべり対策事業が進められている。昭和35年8月13日に指定、昭和59年3月31日に追加指定され、合計面積は81.79 haとなっている。これ以前の昭和28〜35年に水路工が施工された記録があり、昭和40年に本格的な地質調査が開始された。 2. 地形・地質概要 地すべり地内の斜面勾配が15°〜25°の緩勾配であるのに対し、周辺山腹斜面は30°〜40°であり、地形は明瞭に区分される。特に東側の小松谷川より東では50°〜60°の急斜面となる。東西系および北東−南西系の連続性の良いリニアメントが卓越する。これを分断するように南北系および北西−南東系のリニアメントが見られ、地区の東側は小松谷川を形成する南北系、北側は遷急線を形成する北東−南西系のリニアメントによって規制されている。 地質は、四国「秩父帯」に属し、中世代三畳紀〜ジュラ紀の地質体が重なる基盤岩と、第四紀の地すべり移動土塊、これららを被覆する崖錐堆積物などで構成される。西の谷地区の秩父帯は、緑色岩(玄武岩・凝灰岩)と泥質岩(粘板岩)を主体とし、砂岩・チャートなどをブロック状に混入している。泥質岩は、淘汰の悪いシルト質基質中に多様な大きさ・種類の岩塊をブロックおよびレンズ状に取り込んでいる。表層に分布する崖錐堆積物・崩積土は、礫や最大10 m程度の岩塊を混入し、含水比が高くなると泥濘化し、移動土塊となっている。 3. 誘因と素因 素因として、
4. 対策工 集水井工・横ボーリング工・排水路工などの抑制工を主体とし、一部でアンカー工が施工された。 5.その他 地質調査、観測、対策工事の膨大な資料を電子化、データベース化して事業の効率化・高度化を図ることを目的にGIS(地理情報システム)を構築している。 |
地すべりの特徴 西の谷地すべり断面図 西の兄地すべり平面図 |