林野庁 所管           砥沢(とざわ)地すべり 秋田県

対策工平面図

位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.28,No.3(2002年3月,通巻84号)
地すべりの概要
1. 地すべりの概要
 砥沢地すべり防止地区は指定面積が59.44haで,A−1〜3ブロックの3ブロックに区分される。平成8年4月の融雪時に地すべり末端付近の町道で地すべり変動が確認され平成10年3月に指定地となっている。変状はA-1およびA-2-Tブロックに多く認められ,平成10〜13年のGPS観測によると11月〜6月の融雪期を含む冬期間の移動量は約15〜30cmと大きい。これに対し夏から秋は小さく,6月〜11月の移動量は約6〜10cmである。

2.地形・地質概要
 当地区は秋田・山形両県にまたがる鳥海山の東方約15kmに位置し,全体的に急峻な山岳地形の中にあって,それらとは明かに異なる緩傾斜地形をなしている。斜面の平均勾配は約20゜である。1947年の空中写真によると幅長さ共に約1kmの大規模な地すべり地形が明瞭に捉えられており,地すべり頭部には高さ約100mにもおよぶ大規模な滑落崖が存在する。
 周辺の地質は,主として新第三紀中期中新世女川層下部の硬質泥岩および後期中新世の後期から前期鮮新世百宅火山岩の活動時期とほぼ同時期の貫入岩と推測される変質安山岩が女川層を貫いて分布する。区域内で確認される地表地質は,北側尾根部で硬質泥岩,南側で変質安山岩,地すべりブロック内で硬質泥岩起源の礫質土および安山岩起源の岩塊類である。

3.素因・誘因
(1)素因:1)地形が馬蹄形地形をなし集水地形となっている。2)地質的に破砕・粘土化した硬質泥岩の上位を安山岩転石および泥岩起源の礫質土類が被覆しており,地下水・地表水が浸透しやすく,泥岩層内の粘土化層で間隙水圧が作用する。
(2)誘因:1)融雪水,2)末端の河川侵食。

4.対策工
A-1ブロックおよびA-2-Tブロック:集水井工
 
地すべりの特徴
 地すべり模式断面図
 地すべり地形の発達過程(想定)