林野庁 所管      猿田沢大ナコ(さるたざわおおなこ)地すべり 秋田県

地すべり平面図

位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.28,No.3(2002年3月,通巻84号)
地すべりの概要

1. 地すべりの概要
猿田沢大ナコ地すべり防止地区は、災害の全体ブロックであるAブロックとAブロッ ク右岸側末端部の抜け出しブロックであるA−1ブロックの2つの地すべりブロックに区分される。

当地区では、平成13年7月16日未明の大雨により地すべりが発生し、地内に位置する温泉施設内に亀裂が発生した。また、温泉施設下の斜面が崩落する等、土砂流出の危険が高まったことから、周辺の民家5戸に対して避難勧告が発令された。

Aブロック:幅100-150m、長さ160m、最大深さ50m
A−1ブロック:幅40-50m、長さ 90m

2.地形・地質概要
当地区は八郎潟干拓地東部水路から東方約8km、標高20〜90mの平野部と丘陵部との境に位置する。南端に2つの二級河川富津内川と内川川の合流点があり、合流点付近を転換点として前者が北方向から西方向へ、後者が南方向から西方向へとそれぞれ流下している。格子状の地形を特徴とし、北北東−南南西方向の尾根地形とこれを胴切りにする西南西−東北東方向の谷地形が発達していて、ピークが碁盤目状に点在する。上述の尾根は、東側が緩傾斜面、西側が急傾斜面となっている。

地質は新第三系の堆積岩と火山岩類が分布し、堆積岩は下位から女川層、船川層(以上、中新統)、天徳寺層(鮮新統)で、火山岩類は船川層の最上部に分布し、湯越山流紋岩起源の火山砕屑岩より成る。

3.素因・誘因


(1)素因:@風化を受け砂状あるいは粘土化した火山砕屑岩の分布。A極軟質の泥岩粘土層、剪断亀裂帯の存在。

(2)誘因:大雨による間隙水圧の上昇。

4.対策工
Aブロック:真相部の地下水を効率よく排除し、主な抑止工として杭打工、その補助としてアンカー工を採用。
集水井工2基,杭打工とアンカー工2段 A−1ブロック:アンカー工4段
 
地すべりの特徴
 地すべり平面図
 模式断面図
 対策工断面図