地下水追跡
制作:(株)ダイヤコンサルタント
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○ 地下水追跡とは ・ 地下水の平面(空間)的な流動経路を追跡することです. ・ 地下水排除・排水計画に必要な情報です.地すべり地の地下水流動だけではなく,域外のどこから地下水が供給されているかという視点も重要です. ・ 地下水流動調査,トレーサ試験などと呼ばれることもあります. ○ 方法は? ・ 地下水の流れは目視できませんから,次のような手法が採られます. ⇒地下水の水位(水頭)を多くの箇所で測定する; 地下水は水頭の高きより低きへ流れる。そのときの水頭分布より、等ポテンシャル線を作成し、地下水の流動を探る。 ⇒環境同位体を利用する; 自然にある水素,酸素,炭素あるいは硫黄等の同位体濃度,同位体比により,広域の水循環や起源を探る. ⇒地下水温を利用する; 地下水温の平面,鉛直分布と伝熱理論による温度分布を比較して地下水流動を探る. ⇒水質を利用する; 地下水は土・岩の成分を溶かす.地下水の溶存成分の多少,成分比により,広域的な地下水流動を探る. ⇒人工トレーサを利用する;地すべり地などのような比較的小規模な地下水流動系における,水みちとしての流動箇所や分布を探る. トレーサとして,電解物質(食塩,塩化アンモニウムなど),染料(蛍光染料),アクチバブルトレーサ(放射化追跡子)※などがある. 地すべり地においては域外の沢あるいは頭部の孔にトレーサを投入し,周辺孔でトレーサを検出するというやり方である. ※非RI(安定同位体)物質をトレーサとして用い、採取した試料を放射化分析することにより、その存在量を求める ○ 注意点は? ・ 地下水追跡の前提 ⇒地下水の器は何か(地層構成) ⇒どんな広がりをもっているか(地層の連続性) ⇒どこに地下水があるか(帯水層) などの地質条件が明瞭であることが望ましい. ・ トレーサに求められる条件 ⇒地下水と同じ挙動をし,地中の移動で吸着や沈殿が少ない ⇒低い濃度まで検出できる ⇒無害である ⇒天然の存在量が少ない(バックグラウンドが低い) ⇒入手や測定が簡単 ○ わかることは? ・ 地下水がどこから,どのような経路で流れているかがわかります. ○ 利用は? ・ 地層中に地下水が豊富にあると,滑りに抵抗する力が相対的に小さくなり滑りやすくなることを意味します. ・ 地下水を排除する(地下水位を下げる)ことは,滑りに抵抗する力を大きくして,より滑りにくくすることになります. ・ 地すべり地あるいは域外の,どこで地下水を排除すれば効果的であるのか,重要な情報となります. ○ 参照図書 ・ 地下水調査および観測指針(案) (財)国土開発技術研究センター編 平成8年3月 山海堂 |