地下水検層
制作:(株)ダイヤコンサルタント

○ 地下水検層とは
・ 地層中の地下水が流れているかどうかを検知する手法です.
・ 地すべり対策の排水計画・設計および地すべり機構の解明に必要な地下水の流動方向,流動位置,速さを知ろうと開発された手法の一つです.

○ 方法は?
・ ボーリング孔を利用します.
・ よく洗浄したボーリング孔に電解質を投入し 攪拌する.あるいは孔内水を電解質溶液で置き 換えます.電解質は食塩がよく利用されます.
・ 地下水が孔内に流入し流出することによって, 投入した電解質溶液が希釈されます.
・ 電解質溶液が希釈される(濃度が小さくなる) と,電気抵抗が大きくなる性質を利用します.
・ 各深度で電気抵抗を継続的に測定して,希釈 の状態を検知します.電気抵抗は,下図に示す ような電極を用いて計測する方法の他,ゾンデ を挿入し所定の深度で計測する方法もあります.
・ 希釈の程度が大きい箇所を地下水流動箇所と 判断します.

○ 注意点は?
・ 電解質をボーリング孔に投入する場合には,攪拌等によりすみやかに均一な溶液状態にする必要があります.
・ 地下水の流れが緩慢な場合には,ボーリング孔の下方ほど電解質溶液の濃度が大きくなることがあります.
・ ボーリング孔の水位と地層の地下水位の高低によって,地下水が孔内に流入しにくくなったり,しやすくなったりします.
・ 地層の地下水位がボーリング孔の水位より低い場合は,地下水が流入しにくくなります.このような場合には孔内水を汲み上げ,ボーリング孔の水位を低下させながら実施することもあります.

○ わかることは?
・ 地下水が流れているかどうか がわかります.流れていれば, どこで(どの深さで)流れて いるかがわかります.
・ 下は塩水の電気比抵抗を測定 時間ごとに示した図です. 時間の経過に伴って塩水の電 気比抵抗が大きくなる区間が はっきりし,地下水が流動す る区間を認定できた例です.
○ 利用は?
・ 地層中に地下水が豊富にあると,滑りに抵抗する力が相対的に小さくなり滑りやすくなることを意味します.
・ 地下水を排除する(地下水位を下げる)ことは,滑りに抵抗する力を大きくしてより滑りにくくすることになります.
・ 地下水がどこにあるかがわかれば,地下水排除がしやすくなります.
・ ある深度ごとに,孔内水を汲み上げて落ち着き水位を調べる簡易揚水試験を併用すると,地下水の多少がわかりますので,より的確に地下水排除計画が立てられます.

○ 参照図書
・ボーリング孔を利用する原位置試験についての技術マニュアル 平成7年10月 関東地質調査業協会 ・岩の調査と試験 平成2年11月 土質工学会(現 地盤工学会)
・地盤調査法 平成7年9月 地盤工学会