地盤傾斜計
制作:(株)興和
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1. 概要
地盤傾斜計は、主として地すべり土塊の微小な傾斜変動を把握する目的で使用されます。
2. 原理
ここでは、手動観測で多用されている水管式地盤傾斜計の原理を説明します。 地盤傾斜計は種々の影響を避けるため基礎台に設置します。基礎台の設置にあたっては、まず表土を20cm程度掘削し、木杭等の基礎杭を地中に打ち込み、50×50×30cm程度のコンクリート台を設置します。次にこの台の上に40×40cmのガラス板を水平に設置して、この上に2台の水管式地盤傾斜計を東西方向と南北方向に据え付け、回転分度板側が東側及び北側になるように設置します。最後に主脚及び支脚の軸を回転し、主気泡管並びに副気泡管の気泡を中央に合わせ分度板の示度を記録します。 4. 観測方法
観測は、東西方向と南北方向に設置した2台の水管式地盤傾斜計の主気泡管の偏心移動量を主脚の回転により水平に戻し、この時の傾斜角を分度板から読み取り野帳(図-3)に記録します。 図-3 地盤傾斜計野帳の例 1)
5.観測結果の利用法 観測の結果は、東西方向と南北方向それぞれについて地盤傾斜計解析計算表(表-1)により諸元を計算し、各種変動図に整理します。図-5〜8にその例を示します。
図-6 累積傾斜変動図 1)
5. 設置上の留意点 地盤傾斜計の設置にあたっては、地すべり土塊の場所により傾斜運動量が異なるため、設置場所については十分留意する必要があります。特に、局部的な変動が発生すると思われる場所は、地すべり変動以外の傾斜運動を捉えてしまう可能性が高いことから設置は避けることが望ましいです。
引用文献: 1) 地すべり対策技術協会:地すべり観測便覧,p.119〜135,1996 2) 渡 正亮:地すべり調査における地盤傾斜計の利用方法について,地すべりvol.7,No.4,pp.27〜32,1970 3) 高速道路調査会:地すべり危険地における動態観測施工に関する研究(その2)報告書,pp6-40,1987 4) 国土交通省砂防部、独立行政法人土木研究所:地すべり防止技術指針及び同解説,p.29〜30,2008 5) 日本河川協会:建設省河川砂防技術基準(案)同解説調査編,山海堂,P211〜213,2000 6) 綱木亮介:地すべり対策技術協会、地すべり防止技術研修テキスト(平成12年度版),V.調査技術全般,p.37〜40 |