地質調査に用いられるボーリングの目的は大きく以下の3つで、目的に応じて手法を選定します。 調査ボ−リングの主な手法として以下のようなものがあります。 1)ロータリー式ボーリング 地質調査ではもっとも一般的な手法です。ビットを先端に取り付けたコアバーレルが、ロッドを通じて回転することで地盤を掘削します。 コアを採取するコアボーリングと、コアを採取しないノンコアボーリングとがあり、それぞれに応じたツールスが用意されています。 通常のロータリー式ボーリングでは、掘削する際に循環流体(主に清水または泥水)を用いることが多くなっています。循環流体は、
2)パーカッション式ボーリング 打撃力により岩盤を破壊し、掘削します。回転力と打撃力を併用したロータリーパーカッション式ボーリングも一般的です。打撃により地盤を壊すことで掘進するため、コアの採取は出来ません。したがって調査ボ−リングで用いられるとすれば、計器設置による観測・監視を主目的としたものとなります。 気泡ボーリングはロータリー式ボーリングの一種ですが、不飽和土や砂質土のコア採取を目的に開発された手法で、循環流体として、界面活性剤・水・空気を混合して発生させた気泡を用い、より少ない流体量でスムーズにスライムを排除するため、原位置の特性を大きく変化させずにコアを採取することができます。 土砂状に破砕された強風化層などでも高品質なコアを採取することが可能であるため、地すべり調査などの岩盤ボーリング分野でも用いられることが多くなってきています。 ロータリーボーリングの一種で、ワイヤーラインロッドの先端に取り付けたビットを回転させることにより掘進します。コアを納めたインナーチューブをワイヤーラインにより昇降するため、手間と時間がかかるロッドの昇降を必要とせず、深い箇所のコア採取に適しています。 5)オーガーボーリング オーガーボーリングには機械式のものと人力のものがあります。 人力を用いるハンドオーガーは、地表から数m程度の浅い土壌や未固結地盤の構成を知るために用いられ、試料の採取の有無や地質状況などにより先端刃先の形状を使い分けます。利点は、全て人力により行えるため簡易であることです。ただし、大きな礫やそれらを含む土、極めて軟弱な土、飽和状態にある砂などには適しません。 (3)留意点 地すべり調査の際に、ボーリング孔を用いておこなう現位置試験には、主に以下のようなものが挙げられます(→物理力学試験の項を参照)。 ボーリング孔内にて固定ピストン式サンプラーや回転式サンプラーで採取した試料を用いて、各種土質定数を得るための室内試験を行います。地すべり調査において用いられる室内試験には、主に以下のようなものがあります(→室内土質試験の項を参照)。 ボ−リング調査孔を用いて経時的な地すべりの動態観測や地下水の挙動観測などを行い、得られたデータを用いて地すべりの機構解析や対策工事の効果判定を行います。地すべり調査に用いられる観測種には、主に以下のようなものがあります(→地中動態調査の項を参照)。 1)(社)地盤工学会(2004)「地盤調査の方法と解説」 2)関東地質調査業協会(2005)「現場技術者のための地質調査技術マニュアル」
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