1.横ボーリング工の概要
横ボーリング工は、地すべりの誘因となっている地下水を排除することを目的に施工される横向きのボーリング工である。一般には、口径66mm〜116mmで地すべり土塊を掘削し、その後に保孔および集水を目的とし穴開き塩ビ管VP40を挿入する。横向きの角度は、通常5°〜10°上向きであるが、被圧地下水を排除する場合は下向きとすることもある。保孔管として塩ビ管VP40ではなく、口径300mm程度の穴開きの鋼管を挿入する工法を、大口径ボーリング工と呼ぶ。
横ボーリング工・大口径ボーリング工ともに地上から施工される場合と集水井の中から施工される場合がある。ここでは、地上から施工される場合について述べる。
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2.横ボーリング工の掘削箇所と種別
横ボーリング工は、すべり面付近及び地すべり移動土塊中に賦存する浅層地下水の排除が目的で、地すべりの滑動方向におおむね直角に施工し、その先端がすべり面より先に到達するように施工される。
横ボーリング工の施工は、すべり面での間隔が5m〜10mになるように、1個所から放射状に行われる。横ボーリング工は約3゚〜5゚の上向き角度で、掘削長を20m〜50m程度とする。横ボーリング工の施工では、地下水検層等によって帯水層の位置を事前に把握しておくなどの調査が必要である。 |
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3.横ボーリング工での機能と出来形構造
横ボーリング工の出来形構造は、掘削ボーリング径内にストレーナ付保孔管を布設し、帯水層内などの地下水を集水かつ排水できる構造である。ストレーナ付保孔管とは、排水機能を持つ管であると共に、硬質塩化ビニル管や鋼管に丸孔や溝孔といったキリカキ加工した管をいう。一般に丸孔のストレーナの直径は5mm程度、スリット溝孔は幅2mm程からで長さは10cm程度である |
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4.横ボーリング工の施工方法
横ボーリング工を施工するための削孔機種は、ロータリーボーリングマシン、水平専用ボーリングマシン、ロータリー・パーカッションドリルが使用されている |
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5.横ボーリング工および保孔管の施工方法
標準的な横ボーリング工の掘削、および保孔管(集水・排水管)の挿入施工例を、図‐6〜図‐9(文献1)に示す。 |
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6.大口径集排水ボーリング工の施工方法
施工方法は、小口径下水道推進工法「オーガ掘削鋼管推進工法(非回転式の圧入式鋼管挿入方式)」を地すべり用に改良したもので、集・排水管内にセットされた掘削ビットにより地山を掘削しながら集・排水管を挿入・設置する方法である。したがって、地盤を乱すことが少なく、孔壁崩壊等も生じにくい。また、無水掘削を主とすることから地すべりや地山に対し悪影響を与えることも少なく、掘削中に掘削ビットの位置を先端シューに対し前後調整を行うことにより掘削面の崩壊も防止できる。
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(引用文献)
文献1:「地すべり対策技術設計実施要領」平成8年度改訂版 (社)斜面防災対策技術協会
文献2:「ST集排水工法」建設技術審査証明(砂防技術)報告書 平成15年7月
(財)砂防・地すべり技術センター |
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