緑化基礎工・緑化工
制作:ライト工業(株)

●緑化基礎工
 緑化基礎工とは、植物によって裸地面を被覆する緑化工の実施に際し、植物の生育に適した環境の整備・改善を図るための工作物などを指す。
 緑化基礎工は、導入する植物の種類や立地条件(地形、地質、気象など)および緑化工の内容(性質)に応じて選定される。その目的は以下の3つに大別することができる。
 @土層・生育基盤の安定化(浸食・崩壊防止)
  →排水工、積工、階段工、編柵工、金網張工、のり枠工など
 A土層・生育基盤の改善(物理的・化学的な改善)
  →暗渠排水工、溝切工、各種客土工、中和剤・吸着剤散布など
 B気象条件の緩和(風雨、日照、温・湿度などの発芽・生育に支障を来す要因の緩和)
  →防風工、マルチング工など
    ※ マルチング工:保温、保湿などのために、わらやシートなどの材料で育成基盤を覆うこと

 緑化基礎工の構造については、植物の生育に伴い隠蔽されやすく、かつ動植物へ与える影響が少ないことが望ましいとされる。以下に主な緑化基礎工の特徴と適用上の留意点について示す。


●緑化工

 緑化工とは、農業、造園、造林、荒廃地復旧、緑地帯の保護といった人為的手段による植物群落の造成に関して計画、施工、管理などの行為を総称した名称である。
その目的は、植物群落が持つ諸機能を最大限に発現させることにある。
これによって
 @自然生態系の回復と保全
 A荒廃した環境の回復と保全
 B景観の創造と保全
 を図ることが可能になる。
 緑化工は緑化基礎工、植生工、植生管理工に大別でき、植生工は播種工、植栽工、植生誘導工に、植生管理工は育成(保育)管理、維持管理、保護管理に分類することができる。
播種工は、種子から植物の導入を図るものであり、植生シート工、植生土嚢袋工などの人力施工によるものと、種子散布工、客土吹付工、厚層基材吹付工などの機械施工によるものが該当する。これに対して植栽工は、草本類から木本類まで目的に応じた植物の導入を植栽によって図るものが該当する。植生誘導工とは、埋土種子混在表土の利用による自然植生の復元や植物の導入を行わず、周辺から自然に植物が侵入・定着するのを待ち受ける工法などが該当する。これらの適応に際しては、復元する植物群落の内容や性質および周辺環境の状態などについて詳細な検討を行った上で可否を決定することが必要である。
 また近年では、緑化工に欠かすことのできない土壌(生育基盤材)の一部にリサクル資材などを用いることで環境負荷低減を図る試みや、地域性樹木種子および苗木の導入による自然復元の試みが各地で実施されてきている。


引用・参考:緑化技術用語辞典 日本緑化工学会編 山海堂