オルソフォト図作成
制作:(株)パスコ
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1.オルソとは? 航空写真・衛星写真のカタログを見たとき、"オルソ"という聞きなれない単語に戸惑った方もいらっしゃるかもしれません。オルソ(ortho)はギリシャ語で「正しい,ひずみの無い」という意味で、測量のほか眼の治療法などでも使われています。 2.地図表示例 たまに写真を撮るとき、"端っこだとひずむからいや"という人がいます。これはどういうことでしょう。カメラはレンズの中心点から写真を撮る中心投影法で画像を取得します。したがって、どうしても端の方に行くとひずみが生じます。ある意味、ほんの少し端のほうが細く写るとも言えます。 |
その違いはほとんど気付かない程度ですが、このように写真を撮る時には様々なひずみが生じます。航空写真の場合は高いところから広い範囲を写すわけですから、ひずみも顕著に表れてしまいます。このような航空写真を地図と重ねると当然写真の端の方は地図からはみ出してしまい、重なることはありません。
3.オルソ補正 航空写真では、特に高層ビルや山間部などで大きなひずみが生じます。そのため、写真の中心から外周に行くに従って、特にビルなどの高い建物は斜めに倒れたように写っています。このようなひずみがある状態では、写真から計測を行うことも、地図と重ね合わせることもできません。 このひずみを修正することをオルソ補正といい、この補正をかけた航空写真がオルソ画像、あるいはオルソフォト図と呼ばれます。具体的には、中心投影の空中写真データをコンピュータで正射投影図に幾何変換するので「正射写真図」などとも呼称されます |
4.オルソ画像の利用 |
オルソフォト画像は視覚的なアピールが強いため、各種プレゼンテーションなどに用いられることも多く、身近なものになってきています。また最近では、空中写真の属性データに基づく植生解析や細密なDEMデータによる亀裂、変状解析が研究されるようになってきていました。 5.航空写真撮影もデジタルの時代!? 従来のアナログ写真は、数百mごとに空中の1点から広域を撮影しているので、フィルム外縁部の建物は外側に倒れてしまったり、地形が外側にずれてしまいます。したがって、オルソフォトを作成する場合、写真のつなぎ合わせに時間と多大の手間がかかっていました。 |
しかし、最近では航空機に各種デジタルセンサーを搭載した撮影方法に変わりつつあります。 これは、コピー機で紙をスキャニングするように、空中から地表をスキャニングする方法で、光学系・電波系各種センサーで一度に前方・直下・後方の地表データを取得するものです。 |
6.最新オルソ写真 |
従来のアナログ写真からオルソ画像を作成した場合は、上左図の写真のようにつなぎ合わせ箇所が、どうしてもわかってしまいます。一方、航空機に複数のデジタルセンサーを搭載して直下視撮影した画像を使用すると、真上から見た倒れこみのない画像データを広域で作成することができるようになりました。これによりオルソ画像の品質も向上し、写真の繋ぎ目をきれいに表現できない等の問題はほとんどなくなってきています(上右図)。 おわりに 最新のオルソフォトは、土砂災害防止法関連の各種図面や地すべり解析で利用されるようになり、デジタルデータをGISに取り込むことで、リニアメントのほか分割ブロック、滑落崖をはじめとする亀裂、変状系の解読が可能になりました。 以上、オルソフォト作成の処理技術についてご紹介いたしましたが、今後ますます写真測量の高度技術化が進むものと期待されます。国土交通省においても平成15年度からは国土計画局総務課国土情報整備室において空中写真のオルソ化作業が開始され、現在ウェブサイトに「オルソ化空中写真ダウンロードシステム(試作版)」がアップされていてオルソ化した空中写真を閲覧したり、GISで利用できるデータのダウンロードが可能です。 写真出典:(株)パスコ http://www.pasco.co.jp/recommend/word/ |