写真計測
制作:(株)日さく

1.写真計測の概要

 写真計測とは、以前より航空写真測量やリモートセンシング技術として用いられてきたが、近年、市販されている高解像度デジタルカメラの普及と、デジタルカメラで撮影した画像を処理するソフトの普及により、比較的簡単に計測が可能となってきた計測技術である。計測の原理は、ある程度角度を持たせた、複数点箇所で撮影した画像から、同じ点を評定することで、対象の3次元座標を求めるものである。

 なお、図1に写真測量の原理を、図2にはデジタル写真を用いた、画像計測の流れについて示す。

 図1に示すように、位置O1O2から対象を撮影し、画像上の対応点p1,p2を計測して、三角測量の原理により、対象の3次元座標Pが求められる。実際には基準点を何点か一緒に写しこんで、撮影した時のカメラの位置や傾きを求める標定作業を行う。通常、座標の分かっている基準点を3点以上写しこんで、基準点と画像との対応点を計測して算出する。

2.斜面防災分野における写真計測技術の応用

 1.で述べたように、市販のカメラとパソコンを用いた計測技術の普及により、斜面防災分野では、急斜面のため直接的な計測が困難であること、局部的な計測では斜面全体の変位が捉えにくいこと、急斜面であるため被写体として全体を捉えやすいことなどから、岩盤斜面、法面や構造物の変位計測などに本技術が用いられることが多い。また、経時的に撮影を行うことにより、時系列の変位が計測できる。また、空中写真を用いる場合は、より広範囲な地形の変化が捉えられるため、地すべり地の変位や河川、砂防や海岸分野における地形変化、土量の算出等についても応用されている。


3.計測上の留意点

 写真計測における計測精度を高めるためには、一般的には撮影対象物をある程度角度を持たせて、なるべく多くの画像を撮影することや、画像内にターゲット(基準点)を複数設ける必要がある。

(参考文献)

「デジタル写真測量の理論と実践」,平成16年,(社)日本写真測量学会 動体計測研究会編

「光学的全視野計測技術による建設構造物の劣化・変状メカニズムの解明と診断法の開発」,平成19年,平成1718年度科学研究費補助金基礎研究(B)研究成果報告書,代表研究者 松田 浩