1. 工事概要 本工事は,寺院の墓苑にあるブロック積み擁壁の補強として,張りコンクリート工を施工した事例である。当該地の地盤は,ローム層で自立することから,既設擁壁の施工に際しては,切土の補強は実施していなかった。既設擁壁は,施工後20年以上立ち,一部ブロックのはらみだしが見られたため,既設擁壁の前面に張りコンクリート(もたれ擁壁)を構築することとなった。 前述のように,ブロック積み擁壁の一部ではブロックのはらみ出しが見られたが,擁壁天端の変状や,擁壁全体の変形などが無いことから,既設擁壁に外力が作用していないと判断し,ブロックの抜け落ち防止として,張りコンクリート工が採用された。 張りコンクリート工の施工に当たり,現地盤から50cm程度の床掘りが必要なため,擁壁高さが高い箇所については,床掘り時の斜面安定を維持させることを目的に,鉄筋挿入補強土工を検討した。 (1) 鉄筋挿入補強土工 鉄筋挿入補強土の検討に際しては,照査する地盤情報が不足していたため,経験的手法にて補強土工の仕様を決定した。 表-1 補強土工の諸元
備考:「道路土工 切土・斜面安定工指針」(社)日本道路協会H21.6 p304を加筆 (2) 張りコンクリート(もたれ擁壁)工 3. 施工状況 施工は,鉄筋挿入補強土工により既設擁壁を補強した後に,床堀り・張りコンクリート構築の手順で行った。なお,張りコンクリートの前面は,墓苑の性格上化粧型枠にて石張りを模した仕上げとした。
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