落石シミュレーション
制作:日本工営(株)
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1.はじめに 2.落石シミュレーションの概念と理論 落石シミュレーション手法は大きく2つの手法に大別できる。 |
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表1 落石シミュレーション手法
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3.質点系落石シミュレーション |
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図1 落石の運動形態 |
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表1の「解析手法」の項目に示した質点系落石シミュレーションの6つの手法は、これらの点をどのように処理するかが各手法の差となり、シミュレーションの中で様々な処理がなされている。表2に各手法における落石運動モデル化の特徴について示す。 |
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表2 質点系落石シミュレーションの各手法における落石運動モデル化の特徴
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ここでは例として、「吉田らの手法」の運動の考え方として図化したものを図2に示す。 図2 落石運動のモデル図(吉田らの手法)(日本道路協会,2002) 4.非質点系落石シミュレーション 非質点系シミュレーション手法とは、落石を質点ではなく、形状を持った多角形のブロックとして取り扱い、斜面を不連続面で区切られたブロックの集合体として取り扱う方法である。この手法としては個別要素法DEM(Distinct Element Method)と不連続変形法DDA(Discontinuous Deformation Analysis)が挙げられ、不連続面を有する岩盤などの挙動解析に用いられている汎用コードである。これらの手法が、物体の分離、飛行、衝突などの動的問題をモデル化できることから、落石シミュレーションに適用する研究が進められてきた結果、落石調査及び対策の一技術として用いられるようになってきた。 個別要素法(DEM)、不連続変形法(DDA)はともに、解析対象を剛体または変形可能な多角形要素によって離散化するものであり、落石の形状を反映することが可能であるとともに複数の落石を取り扱える。解析方法は運動方程式を、小さい時間刻みの逐次計算により解くものであり、時間ステップ毎に接触・非接触を判定し、接触時には接触位置での接触力、すべり、回転モーメント、エネルギー損失などが計算され、非接触時には直前の速度と重力より運動を算定する手法である。質点系シミュレーションと比較すると、接触時に接触力が重心を通らない場合に発生する回転モーメント、線運動速度が0でも回転する角が衝突して発生する法線方向力及びせん断力、回転軸と重心が一致しないで回転する場合の遠心力を考慮することができるという特徴がある。しかし、実際の斜面における斜面形状及び落石の凹凸、物性値の変化を詳細にモデル化するのは困難であるため、簡易的に落下開始時の落石の姿勢を変化させるなどの解析を複数回行い、実現象におけるバラツキを反映させる検討も行われている。 個別要素法(DEM)と不連続変形法(DDA)の特徴を表3に示す。
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表3 個別要素法(DEM)と不連続変形法(DDA)の特徴 (日本道路協会,2002;土木学会構造工学委員会,2005 に加筆)
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5.落石シミュレーションの手法の現場への適用 落石シミュレーションを現場に適用させるためには、プログラムに入力するパラメータの設定が重要である。パラメータには、地形形状、落石形状、落石重量、反発係数、摩擦係数、粘性係数などが挙げられる。落石現象は実現象そのものが確率的であり、地形形状、物性値にもバラツキがある。したがって、パラメータについては、落石現象のバラツキをいかに表現するかという点に考慮して、設定することが重要である。 落石シミュレーションを適用するケースとしては、検討する現地条件が経験的手法の根拠となった現地条件と比べて著しく異なるなど、落石対策便覧(日本道路協会,2000)に示されるような経験的手法の適用に問題がある場合や、現場落石実験の実施が困難な場合、現場落石実験を行った場合でも落石規模や落下個数が十分でない場合がある。また、斜面上での任意点での対策工の規模を決定したい場合などの合理的な設計が望まれる場合も有効である。 図3に落石運動予測手法の選択フローを示し、表4に具体例を示す。 |
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図3 落石運動予測手法の選択フロー(日本道路協会,2002) |
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図4 落石シミュレーションを適用するケース(例)(日本道路協会,2002)
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6.落石シミュレーションのための調査 落石シミュレーションのための調査とは、シミュレーションに使用するパラメータを設定するための調査である。既往調査結果で不足する場合、必要に応じて現地調査や各種試験を行う。なお、シミュレーション手法によって必要となるパラメータは異なるので、調査項目の設定に当たっては注意が必要である。落石シミュレーションの調査については以下のようなものが挙げられる。
・測量(平面図・断面図) ・現地踏査(落石発生源の確認・落石経路の設定・既往落石状況の把握) ・斜面の地質・土質特性の把握 ・植生状況の把握 ・各種試験(原位置試験・物理試験) |
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7.落石シミュレーション実施及び結果の利用上の留意点 現地調査等により解析断面、解析対象落石が決定したあと、落石シミュレーションを実施する場合の解析フローは以下の通りである。
図4 落石シミュレーション解析フロー 落石シミュレーションにおけるパラメータ設定の一般的方法について表5に示す。
表5 落石シミュレーション実施上の一般的方法(日本道路協会,2002)
落石シミュレーション結果は、パラメータの与え方が結果に大きく影響するため、解析後に結果の妥当性を検討することが重要である。まず、落石の速度や落石軌跡形状について不自然な結果になっていないか等の基本的な点を確認し、問題がなければ、現場の転石状況及び過去の被災事例との比較を行うことにより、シミュレーション結果の妥当性を検証する。解析結果の妥当性に問題があれば、パラメータの再設定等を行うことが望ましい。 (引用文献) Barret,
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