林野庁 所管          大貫地すべり(おおぬき) 新潟県

地すべり平面図
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位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.19,No.3(1993年3月,通巻57号)
地すべりの概要
1. 地すべりの概要
 
当地区は新潟県上越市の旧高田市街地西方3kmほどの丘陵地に位置し、昭和55年4月17日に指定区域となった。指定面積は42.3ha。
 昭和54年10月19日に日雨量70mmもの豪雨があり、同日に県道横畑高田線に亀裂が発生して地すべりが始まった。翌月2日に斜面中腹でも亀裂が発生、8日の日雨量75mmの豪雨により最大5〜6mもの落差まで拡大し、14日の日雨量50mmの降雨、16日の糸魚川沖震源の震度3の地震を経て、2日後の18日午前6時ごろに大地すべりが発生した。この大地すべりのブロック頭部には比高約50mに達する大滑落崖が形成され、地すべり土塊の移動量は90〜120mにもなったことが、発生前後の杉林・遊歩道・渓流等の比較により判明した。また、頭部〜中部にかけては陥没地形や二次滑落崖に相当する段差・横亀裂が、下部では隆起地形や縦断方向の破壊亀裂がそれぞれ形成された。

2.地形・地質概要
 
本地区は概ね東ないし南東方向に流下する大瀬川(関川の左支川)の最上流部であり、北西−南東方向に延びる標高約200mの2列の平行した尾根に挟まれた幅約700mの谷地形を呈しており、この谷を挟む直線的な平行稜線と谷の両岸斜面の緩急を反映してケスタ状地形となっている。
 新第三系中新統能生谷層下部の泥岩および砂泥互層が分布しており、その走向は稜線および谷の延び方向に一致する。また、地すべり地西方約600mを南北に走る郷津背斜に起因する、著しく風化された破砕帯が見られ、本地すべり頭部の大滑落崖も破砕構造部に相当している。

3.素因・誘因
(1)素因:
1)流れ盤タイプの層理面
2)地質構造性の破砕帯の存在 B破砕帯の風化進行および良透水ゾーンの形成 C旧崩積土分布による古い地すべり地形の存在
(2)誘因:
1)日雨量50〜75mmに達する豪雨による浸透水の増加
2)直前に発生した地震による不安定化の促進

4.対策工
  集水井工,杭打工
 
地すべりの特徴
 
地すべり断面図
 新潟県の地質図
 新潟県の降水量分布図