都道府県名

山口県

面積

6,100 km2

人口

160万人

地形

中国脊梁山脈の西端に位置し,広島県との県境の寂地山(じゃくちさん;標高1,337m)を最高峰として,西に高度を落とし響灘に没する。大きな河川や平野がなく,山地が県土の72%を占める。

地形面は,高位より脊梁山地面(標高1,000m以上),吉備高原面(400700m)瀬戸面(100300m)が発達する。これらの地形面はフィリピン海プレートの潜り込みに伴う圧縮によって,中国山地が曲隆する過程で形成されたとされる。これら平坦面は風化が深部まで及んでいることが多く,地すべりや崩壊に係わっているとされる。

また,プレートの圧力により,北東−南西系とそれに共役な断層系が発達し,地塊が分断されている。これらの断層も地すべりの素因となっている。

地質

地質概要を,別図に示す。

地質は,43千万年前の古生代シルル紀から第四紀までさまざまな種類の地層で構成されている。

県北部には,中生代火成岩の阿武層群・周南層群,第三紀の油谷湾層群の堆積岩および火山岩などが,県西部には中生代の陸型堆積岩である豊浦層群・関門層群などが,瀬戸内側の中部から東部にかけては中生代の周防変成岩,領家変成岩,広島型花崗岩などが分布している。

気象

県内の気候には著しい地域差はないが,日本海,瀬戸内,北九州の各気候型の交点にあり,わずかながら地域差が認められる。

年平均気温では,内陸型の徳佐の12.5℃に対し,瀬戸内と日本海型の地域では15℃前後である。

降水量は,内陸型の2,0002,300mm/年に対し,瀬戸内型と日本海型では1,6501,860mm/年である。

その他特徴

地すべり分布と特徴

地すべり防止区域を,別図に示す。

地すべりは,油谷(ゆや)半島の第三紀層,周南層群の片岩,領家変成岩の片麻岩の分布域に重なっている。箇所数としては,第三紀層が半分以上を占める。

平成5年の梅雨と台風による豪雨(三ヶ月間の総降雨量1,800mm)による災害で,地すべりは全県で25箇所発生した。地質との関係では,深成岩(花崗閃緑岩)が片麻岩と並んで6件と最も多く,第三紀層,片岩,中生層が4件と続いた。今までほとんど報告されたことのなかった花崗閃緑岩での地すべりが注目された。

対策事業の実施状況

所管区分

箇所数

区域面積(ha)

平成18年末現在の県の地すべり防止区域は左表の通りである。

国土交通省

     71

   1,769.03

林野庁

      6

     67.19

構造改善局

     32

   1,674.17

合  計

    109

   3,510.39

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

Vol.34,No.1 2007年,通巻100(国土交通省所管)西津黄(にしつおう)地区地すべり,沼田(ぬた)地すべり,大谷西地区地すべり,粭島(すくもじま)地すべり