都道府県名

和歌山県

面積

4,726 km2

人口

104万人

地形

紀伊半島の中央部は紀伊山地からなる。

山地高度はそれほど高くなく、護摩壇山の1,372mを最高としている。

紀伊山地から西側に延びる山脈が、西は紀伊水道、南は太平洋にせまり、典型的なリアス式海岸を形成している。その雄大豪壮な景観は一部国立公園に指定されている。

紀伊山地の年間降雨量は本邦でも最多雨地帯の一つであるため、河川がよく発達している。

地質

基盤地質概要図を別図に示す。

西日本を内帯と外帯に分ける中央構造線は、紀の川北岸和泉山脈の南麓に沿って東西に走っている。

北側の内帯には上部白亜系の和泉層群が東西に分布する。和泉層群は砂岩・礫岩・泥岩からなり、大部分は南に傾斜した地層である。

外帯は本県地域の大部分を占め、北から古生界、中世界、新生界とほぼ3等分された状態で東西に帯状に分布している。

古生界は、北から三波川変成帯の結晶片岩、秩父累帯の中古生層が分布する。

中世層の日高川帯は古白亜紀と新白亜紀に分けられ、古白亜紀には塩基性凝灰岩をはさみ、新白亜紀には酸性凝灰岩と思われる珪質岩が入っている。

仏像構造線に近いところでは砂岩が破砕され、非常に崩れ易くなっている。

古第三紀層等が分布する牟婁帯は、礫岩・砂岩・頁岩のリズミカルに繰り返すタービダイトからなる。

古座川付近では南北方向に新第三系の熊野層群が分布する。

火成岩類は、熊野層群に囲まれて熊野酸性岩類が限られた範囲で分布する。

気象

紀北と紀南の2つの顕著な特色を有している。

総じて南海性気候に属し、特に紀南はその傾向が顕著である。紀北は瀬戸内海性気候の影響を受けている。

県面積の3分の2は年間降雨量2,000mm以上である。

降雨量は梅雨期と9月の台風期に多く、南部山岳部の南斜面では4,000mmにも達する全国でも雨量のきわめて多い地域である。

紀南は黒潮の影響で一般に温暖で、最寒月でも月平均気温が9度C以上あるが、紀伊山地の高山では気温が低く、高野山での1月の平均気温は氷点下0.8度Cである。

地すべり分布と特徴

地すべり危険箇所分布図を別図に示す。

いわゆる破砕帯地すべりに属す。

中央構造線沿い、三波川変成帯、古第三紀層地帯に多く見受けられ、構造線・破砕帯を形成する地質構造に強く規制されている。

県内の地すべり危険箇所数は572箇所あり、その大半は次の三地域に集中している。

1)  紀の川周辺:北岸部では中央構造線沿いに地すべりが多発する。和泉層群の砂岩・頁岩を基盤とする。南岸部は三波川変成帯の泥質片岩・緑色片岩などが分布し、これらの強風化層または崩積土層で地すべりが発生している。

2)  有田川周辺:御荷鉾構造線周辺部に地すべりが集中しており、多くは構造線の北側の蛇紋岩などの御荷鉾緑色岩類が分布する地域に発生している。

3)  芳養川・富田川周辺:県北部・中部の地すべり危険箇所が東西方向に分布するのに対し、南部は富田川に沿って南北方向に分布する。

対策事業の実施状況

所管区分

箇所数

区域面積(ha)

平成25年3月現在の地すべり防止区域は左表の通りである。

農村振興局

    28

  1,037.80

林 野 庁

    19

    284.74

国土交通省

   105

  2,626.48

合  計

   152

   3,949.02

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

Vol.24,No.1 1997年7月,通巻70号:西谷地すべり、沼田地すべり、西ヶ峰地すべり(国土交通省所管)

Vol.41,No.2 2014年8月,通巻121号:(国土交通省所管)中三栖地すべり、本宮地すべり

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