記事作成:大栄開発(株)

都道府県名

長崎県

面積

4,092km2

人口

148万人

地形・地質

長崎県は本土、離島とも山がちで平坦地に乏しく、急傾斜地も非常に多い。山地は比較的低く、島原半島中央部の雲仙山系と佐賀県境の多良山系の2群で標高1,000mを越えるのみである。平地はその周辺部に小さく点在している。河川も全般に短く、最長の佐々川でも21.5kmにすぎない。

長崎県の地質は、大別して@古生代・中生代の岩石を原岩とし、中生代に変成作用を受けた長崎・西彼杵変成岩類、A中生代白亜紀から新生代中新世までの陸成〜海成層堆積岩、B中新世以降の火山活動による火山砕屑物及び溶岩に分類される。

気 象

長崎県は年平均気温16~17℃、年間降水量は2,000mm程度で、温暖多雨の気候を有し、対馬暖流の影響を受けて冬は比較的暖かく、夏は涼しい海洋性の気候に恵まれている。67月にかけての梅雨期には集中豪雨により、しばしば地盤災害がもたらされ、特に1957年の諫早大水害(死者・行方不明者856名)、1982年の長崎大水害(死者・行方不明者299名)では、極めて甚大な被害を蒙った。

その他特徴

長崎県は壱岐、対馬、五島、平戸など多数の島々が点在しており、島群が陸地面積の約45%を占め、その数971島は全国1位である。そのため、陸地面積は全国37位と狭いが、北海道に次ぐ全国2位の海岸線(約4,200km)を有している。

地すべり分布と

特徴

長崎県下の地すべりは、県北部の北松浦郡・佐世保市周辺と県南部の島原半島南端部周辺に特に多く発生し、これらはいずれも「第三紀層地すべり」に分類される。

県北部の地すべりは「北松型地すべり」と称せられ、日本の地すべり多発地帯の一つである。含炭第三系堆積岩を基盤とし、これを不整合に覆う砂礫層の上に玄武岩類が乗った地質構造で、平山地区や鷲尾岳地区に代表される大規模地すべりは挟炭頁岩、凝灰岩層をすべり面とする岩盤すべりである。

島原半島南端部の地すべり地域も「北松型地すべり」に類似した地質構造ではあるが、地すべりの規模は「北松型地すべり」に比して概ね小さい。

その他、県南西部の西彼杵半島の変成岩(結晶片岩)分布域には、「破砕帯地すべり」に分類される地すべりもみられる。

対策事業の

実施状況

 長崎県内の地すべり防止区域の数は294箇所である。以下に所管ごとの内訳を示す。

(平成19年12月末現在)

所管区分

地すべり防止区域

区域数(箇所)

面 積(ha)

国土交通省河川局

141

2,882

農林水産省農村振興局

78

5,374

農林水産省林野庁

75

3,392

合 計

294

11,648

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

9,10号:鷲尾岳地すべりと国鉄松浦線との関係(報文)

14号:長崎県北部の田ノ平地区地すべりにおける立体排水工について(講座)

38号:長崎県耕地課(構造改善局所管)における地すべり対策について(報文)

43号:佐世保市小舟地すべり(口絵写真、技術資料)

50号:長崎県建設省所管における地すべり対策について(報文)

51号:松浦市石倉木場地区の地すべり(口絵写真)

55号:雲仙普賢岳の火砕流と熱風(口絵写真)

63号:長崎県山地災害対策室(林野庁所管)の地すべり対策について(報文)

77,78:長崎県の地すべりを語る(座談会)