都道府県名

 愛知県

  面積

 5,164 q

   人口

 741万人

地形

愛知県は,日本列島の形成に関わりのある中央構造線の延長上に位置しており,著しい造山運動を経た地域に属する。

地形的には,侵食の進んだ標高1,500mに満たない穏やかな山容と河川流域に発達する平野部の分布を特徴とする。

山地は県東部(ほぼ矢作川以東)に広がる三河山地が主のものであり,県北の岐阜県境にも分布する。県内最高峰は茶臼山(標高1,415m)である。

丘陵地は県北端より南へ張り出す尾張丘陵および知多半島までの地域に分布し,定高性を持つことが特徴である。

平野部は県西部の木曽川・庄内川中下流域に発達する濃尾平野,県央の矢作川西岸下流域の岡崎平野,県東部の豊川平野などがある。

  参照:愛知県の地形分布

地質

県東部を流れる豊川に沿って,渥美湾を通過する中央構造線により,地質構造上,豊川以北を西南日本内帯,豊川以南を西南日本外帯と呼び,区別される。

北西部の木曽川から庄内川周辺にかけては,新第三紀,第四紀の堆積岩類が分布する。知多半島は,砂,粘土,礫を主体とする新第三紀の東海層群からなる。

中央構造線の以北(西南日本内帯)が領家帯で猿投山から南東部に花崗岩類が広く分布する。豊川に沿う豊川平野や新城地域には新第三紀・中新世が分布する。

西南日本外帯の三波川帯には結晶片岩が分布し,渥美半島では丘陵地に古生層が,その周辺には広く砂岩泥岩を主体とする洪積層が分布する。

参照:愛知県の地質と地すべりの分布

気象

夏は湿度が高く酷暑が多く,冬は温暖で降雪量も少ない。西部は海洋性気候,東部山間部は内陸性気候の特徴を示す。

名古屋市における年平均気温は15.4°C,年降水量は約1,565oである。

・冬日は35.6日,日最低気温が25℃以上の日は12.8日,日最高気温が30℃以上の日が57.6日,35℃以上の日が7.7日と夏は暑い。梅雨時は天気がぐずつき,暑苦しく感じ,梅雨末期は大雨となることもある。秋には秋晴れとなるが秋雨や台風の襲来があり大雨となることもある。台風の接近日数は,2.9個である。

その他特徴

濃尾平野は木曽三川(木曾川・長良川・揖斐川)により形成された沖積平野であり,古くから内水災害が多発している。鎌倉時代末期以降,輪中(わじゅう)とよばれる内水被害軽減のための堤防が各地に作られ,その一部は現在も残っている。

地すべり分布と特徴

地すべりは,県の東部,北東部に多い。一部は南部の知多半島先端付近にみられる。地すべりが集中する東部は,結晶片岩からなる三波川帯,北東部は領家帯の花崗岩や新第三紀・中新世の設楽層群の分布域に属する。前者は破砕帯地すべり,後者のうち設楽層群での地すべりはいわゆる第三紀層地すべりのタイプが多い。

破砕帯地すべりは斜面勾配が急で,崩壊に近い形態のものが多い。

第三紀層地すべりは斜面勾配が緩く,運動形態は粘性型の地すべりが多い。

愛知県の地すべりの最も大きな特徴は,「その他の地すべり」に区分される地すべりが多いことである。主として領家帯の花崗岩分布域にみられ,深層風化によって形成されたマサ土で発生している。

活動性に注目すると,愛知県の地すべりは活動があまり活発でなく,慢性的かつ継続的に動いている地すべりはない。

参照:愛知県の地質と地すべりの分布

対策事業の実施状況

愛知県の地すべり防止区域情報別表に示す。

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

なし